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馬場 祐治
Low Temperature Physics, 29(3), p.228 - 242, 2003/03
被引用回数:54 パーセンタイル:52.35(Physics, Applied)固体表面に低温で吸着した分子の内殻軌道電子を、放射光軟X線によって選択的に光励起することができる。この特長をうまく使うと、特定の元素を含むフラグメントを表面から選択的に脱離させたり、特定のサイトや化学結合を選択的に切断することができる。そこで、どのような場合にこのような内殻電子励起による選択的な脱離を起こすことができるかについて、さまざまな実例をあげながらわかりやすく解説した。内殻電子励起後の主なエネルギー緩和過程はオージェ遷移であるため、種々の励起エネルギーにおけるオージェ遷移と脱離イオン種,脱離イオン強度の関係を特に詳細に議論した。その結果、内殻軌道から価電子帯の反結合性の非占有軌道へ共鳴励起された電子が、この軌道に一定の時間局在することによって起こる速い結合解裂が選択的な脱離にとって極めて重要であることを明らかにした。
馬場 祐治; 吉井 賢資; 山本 博之; 佐々木 貞吉; W.Wurth*
Surface Science, 377-379(1-3), p.699 - 704, 1997/00
吸着分子に放射光軟X線を照射し、内殻電子励起による脱離過程を調べた。多層吸着したPCl分子のP1s電子を軌道へ共鳴励起すると、主にPイオンが脱離するのに対し、Cl1s共鳴励起ではClイオンのみが脱離した。同様な元素選択的脱離は、SCl吸着分子のS1s、Cl1s励起においても認められた。電子分光測定によれば、脱離が起こる共鳴励起エネルギーでは、ほとんどがスペクテータ型のオージェ遷移を起こすことから、高い元素選択的脱離が起こるのは、反結合性軌道に励起された電子(スペクテータ電子)の存在により励起される速い結合解裂のためであると結論した。
馬場 祐治; 吉井 賢資; 佐々木 貞吉
Journal of Chemical Physics, 105(19), p.8858 - 8864, 1996/11
被引用回数:32 パーセンタイル:72.79(Chemistry, Physical)内殻電子励起の光化学反応により、分子内の特定の化学結合が選択的に切断される例として、ジメチルジスルフィド(CH-S-S-CH)の低温凝縮層に、S 1s吸収端付近の放射光X線を照射し、表面から脱離するフラグメントイオンを測定した。S 1s電子をS-S結合部の軌道へ共鳴励起すると(h=2472.1eV)、主にS及びCHイオンが脱離するのに対し、S-C結合部の軌道へ共鳴励起すると(h=2473.4eV)、S-C結合が選択的に切断され、CHイオンのみが脱離することがわかった。各エネルギーにおけるオージェ電子スペクトルの測定結果と併せて反応機構を考察し、このような選択的な化学結合の解裂は、反結合性軌道へ励起された電子(スペクテータ電子)の局在性により、それぞれの結合が切れやすくなるためであると結論した。
佐々木 貞吉; 馬場 祐治; 吉井 賢資; 山本 博之
Journal of Physics; Condensed Matter, 7, p.463 - 468, 1995/00
被引用回数:16 パーセンタイル:67.97(Physics, Condensed Matter)Mo2p吸収端近傍のエネルギーの放射光励起により、Mo(LMM)領域の共鳴オージェ電子スペクトルを調べた。LMMオージェピークについてピークシフトが観測され、Mo、LiMoOについてそれぞれ~4eV、~12eVのh依存性を認めた。LiMoOではMo2p4d(5s)の共鳴励起において、LMM線はスペクテータオージェ線、ノーマルオージェ線の2本に分裂するとともに、前者がさらに2本に分裂してhとともに高エネルギーシフトを起こす現象を見出した。ピーク分裂、エネルギー分散の両現象ともバンド構造に起因すると結論した。
佐々木 貞吉; 馬場 祐治; 吉井 賢資; 山本 博之
Journal of Physics; Condensed Matter, 7, p.4385 - 4394, 1995/00
被引用回数:4 パーセンタイル:31.74(Physics, Condensed Matter)MoSのS 1s3p、SiClのCl 1s3pの共鳴吸収において、LVV(2p3p3p)オージェピークが強度変動するとともに、新しいサテライトピークが出現することを見出した。スペクトルのh依存性を調べた結果、K殻(1s)やL殻(2s、2p)などに2個の正孔が存在する状態を始状態とするオージェカスケードのシグナルであることがわかった。サテライトピークの強度計算を試みたところ、実測値は計算値の1/3であった。未知の内殻緩和機構の存在することが示唆された。
佐々木 貞吉; 馬場 祐治; 吉井 賢資; 山本 博之; 中谷 健*
Physical Review B, 50(21), p.15519 - 15526, 1994/12
被引用回数:17 パーセンタイル:71.62(Materials Science, Multidisciplinary)Mo2p4dの共鳴励起で生成する励起状態4dのオージェ崩壊過程を放射光光電子分光法により検討した。共鳴励起光によるオージェ電子スペクトルでは、スペクテータオージェ、ノーマルオージェに起因するMo(LMM)線の分裂が認められた。これらのうち、スペクテータオージェ線は励起光のhとともに4.5-12eVのエネルギーシフトを起こした。この現象は非軌道がバンドライク構造であるとするモデルで理解された。パーティシペータオージェ崩壊のチャンネルについても検討し、Mo3d線及びMo3d線の強度が共鳴h領域で激しく増減するとともに、両者の強度比も大きく変動することを見出した。